アンティークコイン ドイツ バイエルン王国 ルートヴィヒ1世 1848年退位記念2ターラー金製メダル (1984年再鋳) PCGS-SP69
重量:30.02グラム
直径:38.0ミリ
品位:90.0%金
発行枚数:1,000枚未満
PCGS社鑑定済み枚数1枚 SP69は1枚でトップグレードです。

表面には、右を向いたルートヴィヒ1世の頭部肖像が描かれている。
周囲には「LUDWIG I KOENIG VON BAYERN(バイエルン国王ルートヴィヒ1世)」の銘文が刻まれている。
肖像は古代ローマのデナリウス銀貨やメダルに見られる「皇帝風」のスタイルを意識しており、王の威厳と文化的な教養を象徴している。
SP69という極めて高いグレードにより、王の髪の毛一本一本や顔の細かな輪郭、彫刻師のサインに至るまで、驚くべき鮮明さで保存されている。


裏面には、歴史的に極めて重要な「退位の情景(Abdication Scene)」が描かれている。
中央には退位するルートヴィヒ1世と、その王冠を受け継ぐマクシミリアン2世が配置されており、背景にはバイエルンの象徴である獅子(ライオン)を伴う円柱が描かれている。
この情景は、政治的な敗北としての退位ではなく、バイエルン王国の安泰と継続のための「自発的な自己犠牲」という物語を視覚化している。
銘文には退位の日付や、王室の絆を強調する文言が含まれており、ルートヴィヒ1世が最後まで自身のイメージを貨幣を通じてコントロールしようとした執念が伺える。
・ルートヴィヒ1世の統治と1848年の動乱
バイエルン国王ルートヴィヒ1世(在位1825年-1848年)は、建築と芸術の熱狂的なパトロンとして知られ、ミュンヘンを「イザール河畔のアテネ」へと変貌させた人物である 。
彼の統治下で発行された貨幣は、古代ギリシャ・ローマのメダル制作技術に範を取り、王国の重要な出来事を記録する役割を担った。
しかし、彼の晩年は政治的混乱に彩られた。
1840年代、バイエルンでは検閲の強化や重税、そして国王と踊り子ローラ・モンテスとのスキャンダルな関係により、民衆の不満が蓄積していた。
1844年の「ビール暴動」は、その後の政治的不安定の予兆であり、1848年にヨーロッパ全土を席巻した「三月革命」の波はバイエルンをも直撃した。
1848年3月20日、ルートヴィヒ1世は憲法改正による権限縮小を受け入れるよりも退位することを選択し、長男のマクシミリアン2世に王位を譲った。
この歴史的瞬間を永劫に記録するために発行されたのが、1848年の退位記念2ターレルである。
本来、この貨幣は銀貨として発行されたが、その意匠は王室の正統性と秩序ある権力の移行を強調するものであった 。
【ターラーの歴史】
ルートヴィヒ1世が導入したターラーの最大の特徴は、「流通するメダル」であったことにある。
当時、王室の記念行事は高価なメダルとして特権階級の間で贈答されるのが一般的であったが、ルートヴィヒ1世はこれを通常の通貨システム(2ターラーおよび1ターラー)に組み込むことで、一般市民の手元にまで王室のメッセージを届けることに成功した。
これらの貨幣のデザインには、王室の結婚、世継ぎの誕生、運河の開通、そしてギリシャの独立支援など、多岐にわたるテーマが採用された。
1848年の退位記念貨は、この壮大なシリーズの第38番目にして最後の作品であり、まさに「ルートヴィヒ1世の物語」の完結を意味するものである。
重量:30.02グラム
直径:38.0ミリ
品位:90.0%金
発行枚数:1,000枚未満
PCGS社鑑定済み枚数1枚 SP69は1枚でトップグレードです。
本メダルは、歴史的象徴性、美術的卓越性、そして貴金属としての資産性を完璧なバランスで備えた稀有な個体です。
ルートヴィヒ1世の波乱に満ちた統治の終焉を、カール・フリードリヒ・フォークトの精緻なデザインで再現したこのメダルは、地金価値に加えてSP69という最高峰の鑑定評価によって、世界に数多あるバイエルン貨の中でも際立った存在感を放っています。
このメダルを所有することは、バイエルンが誇る「ターラー」という壮大な叙事詩の最終章を、最も高貴な形で保持することを意味しており、専門的なコレクターや投資家にとって、これ以上の選択肢を見出すことは極めて困難であると言えるでしょう。


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