アンティークコイン ドイツ バイエルン王国 1828年銘・1982年製造 ルートヴィヒ1世 金製スペシメン・リストライク・ターラー PCGS-SP67
重量:28.15グラム
直径:38.0ミリ
品位:90.0%金
発行枚数:600枚
PCGS社鑑定済み枚数1枚 SP67は1枚でトップグレードです。
本貨の意匠は、ミュンヘン造幣局の主任彫刻師であったカール・フリードリヒ・フォークト(Carl Friedrich Voigt)の手によるものである。
彼の卓越した技量は、リストライクにおいても細部まで忠実に再現されている。

表面には、右を向いたルートヴィヒ1世の頭像が描かれている。
古典主義的な手法で表現されたその姿は、古代ギリシャやローマの英雄を彷彿とさせ、彼の理想としたネオクラシシズムの精神を体現している。
周囲には「LUDWIG I KOENIG VON BAYERN(バイエルン王ルートヴィヒ1世)」の銘文が配置されており、その書体の鋭さと彫りの深さは、1982年のスペシメン鋳造技術によって、オリジナルの銀貨以上のコントラストを持って表現されている。

裏面こそが、本貨を世界で最も美しいコインの一つたらしめている要素である。
中央には王冠を戴いた円の中に王妃テレーゼの肖像が配され、それを囲むように、誕生したばかりのアダルベルト王子を含む8人の子供たちの肖像が、それぞれの円の中に描かれている。
中央:王妃テレーゼ ザクセン=ヒルトブルクハウゼン家出身

周囲(時計回り):
マクシミリアン:後のバイエルン王マクシミリアン2世
マティルデ:ヘッセン大公妃
オットー:ギリシャ王オトン1世
ルイトポルト:後のバイエルン摂政公
アーデルグンデ:モデナ公妃
ヒルデガルト:オーストリア大公妃
アレクサンドラ
アダルベルト:1828年誕生、本貨の主役
・ルートヴィヒ1世の貨幣改革
バイエルン王ルートヴィヒ1世は、19世紀ヨーロッパにおいて最も芸術に傾倒した君主の一人であり、ミュンヘンを「イザール河畔のアテネ」へと変貌させるべく尽力した人物である。
彼の貨幣政策における最大の特徴は、王国の歴史的な節目や出来事を記録する「歴史的ターラー」シリーズの創設であった。
これらのコインは、単なる流通貨としてではなく、王国の栄光を国内外に知らしめるための「触れることのできる芸術品」として設計された。
【1828年銘「空の祝福」の起源】
1828年に発行されたオリジナルの銀製ターラーは、ルートヴィヒ1世と王妃テレーゼの間に生まれた第4王子(第9子)であるアダルベルト王子の誕生を記念したものである。
当時のバイエルンは、ナポレオン戦争後の混乱を経て、ヴィッテルスバッハ家の統治下で安定を享受していた。
ルートヴィヒ1世にとって、多くの後継者に恵まれることは、単なる私的な喜びではなく、王朝の永続性と神の恩寵を証明する政治的な重要事項であった。
そのため、このコインの裏面には「DES HIMMELS SEGEN(空の祝福)」という銘文が刻まれ、王室の繁栄が神聖なものであることが強調された 。
興味深いことに、この意匠の決定にはルートヴィヒ1世自らが深く関与しており、1825年の即位から数年間にわたる修正を経て完成に至っている。
王は初期のデザイン案に満足せず、最終的に王妃を中心とした家族の肖像画を配置するという画期的な構成を採用した。
この人間味あふれる、しかしながら厳格な構成は、後にロシア帝国のニコライ1世が発行した有名な「ファミリー・ルーブル(1836年)」のデザインにも直接的なインスピレーションを与えることとなった。
重量:28.15グラム
直径:38.0ミリ
品位:90.0%金
発行枚数:600枚
PCGS社鑑定済み枚数1枚 SP67は1枚でトップグレードです。
28.15グラムの重量感あふれる金という素材的魅力は、単なるコインの枠を超えた「家宝」としての価値を有しています。
2026年現在の高騰する金市場において、本貨は純粋な金属価値としての強力な下支えを持ちながら、ヴィッテルスバッハ家の歴史とドイツ芸術の真髄を今に伝える文化財としてのプレミアムを保持し続けています。
ルートヴィヒ1世がアダルベルト王子の誕生に際して願った「天の祝福」は、約200年の時を経て、この美しい金貨を手に取る現代の所有者にも、時代を超えた輝きとして届けられるでしょう。



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