アンティークコイン ドイツ 自由都市ニュルンベルク 1632年 グスタフ2世アドルフ 1ダカット金貨 NGC-AU58
重量:3.48グラム
直径:23.0ミリ
品位:98.6%金
NGC社鑑定済み枚数2枚 AU58は1枚でトップ2グレードです。

表面には、右を向いたグスタフ2世アドルフ王の月桂冠を戴く肖像(Laureate Bust)が描かれている。
この様式は古代ローマ帝国の皇帝を模したものであり、グスタフ2世がドイツの地において単なる略奪者ではなく、正当な秩序の構築者であることを示唆している。
周囲のレジェンド(文字)はラテン語で刻まれており、標準的なバリエーションは以下の通りである。
GVSTAV:ADOLPH.DG:SVECGOTH:VAND:REXMAG:PRI: (神の恩寵によるスウェーデン人、ゴート人、ヴァンダル人の王、偉大なる公)
肖像の細部、特にレースの襟や髪の表現は、ニュルンベルクの彫刻家たちの卓越した技術を反映しており、高い浮き彫りが特徴となっている。


裏面には、スウェーデン王国の王冠を戴く盾状の紋章(Crowned Arms)が配置されている。
紋章は中央で分割され、上部には鋳造年である「16-32」が王冠を挟むように刻まれている。
裏面のレジェンドは、国王が統治する広大な領土を列挙している。
FIND:DVXETOH: / ETCAR:DO:ING: (フィンランド大公、エストニアおよびカレリア公、イングリア領主)
この紋章の描写は、スウェーデンがバルト海を「スウェーデンの湖(Mare Balticum)」へと変え、北欧の覇権を確立した「大国時代」の象徴そのものである。
・三十年戦争とスウェーデンの介入
17世紀初頭のヨーロッパを震撼させた三十年戦争の最中、自由帝国都市ニュルンベルクにおいて、スウェーデン王グスタフ2世アドルフの権威の下で鋳造された1632年銘デュカット金貨は、軍事史、経済史、そして美術史の結節点に位置する極めて重要な遺産である。
この金貨は、単なる流通手段としての貨幣を超え、北方の獅子と称された国王の政治的野心と、傭兵軍を維持するための切実な財政需要、そしてニュルンベルクが誇る高度な鋳造技術が融合した産物といえる。
1611年にスウェーデン王位を継承したグスタフ2世アドルフは、当時のバルチック海周辺における覇権を巡り、デンマーク、ロシア、ポーランドとの絶え間ない紛争を経験していた。
これらの初期の戦いを通じて、彼は近代軍制の基礎となる組織改革、機動力、そして統合兵科の概念を確立した。
1630年、スウェーデン軍がポメラニアに上陸し、ドイツのプロテスタント諸侯を支援するために三十年戦争へ介入した際、グスタフ2世はわずか4,000人の軍勢を率いていた。
しかし、1631年のブライテンフェルトの戦いでの圧倒的勝利は、カトリック勢力である神聖ローマ帝国軍の優位を覆し、スウェーデンをヨーロッパの一等国へと押し上げたのである。
スウェーデン軍の強みは、その鉄の規律と一貫した給与体系にあった。
グスタフ2世は略奪を厳格に禁じ、兵士たちに定期的な現金を支払うことで軍の士気と秩序を維持した。
このため、征服地や同盟関係にある都市の造幣局を即座に管理下に置き、多額の金貨や銀貨を鋳造する必要があった。
ニュルンベルクは、その経済的重要性からスウェーデン軍の戦略的拠点となり、1632年の滞在期間中にこのダカット金貨が鋳造されることとなったのである。
Gold Coins of the Worldでは
VF 2,000ドル
EF 4,000ドル
基準価格は、更新されておらず、実際の相場価格を
大きく下回っています。
本金貨は、北欧の英雄がドイツの地で刻んだ最後の、そして最も力強い歴史の署名の一つです。
NGC AU58という際立った保存状態は、390年以上の歳月を経てなお、17世紀のニュルンベルク造幣局の職人技と、北方の獅子の威厳を現代に伝えています。
専門的な観点から言えば、この金貨は単なるゴールド・ポートフォリオの一部ではなく、地政学的な大変動期における軍事・経済戦略の物理的な成果物です。
三十年戦争期を代表する最高クラスの歴史的遺物であることから大変希少な一枚です。



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