【レア度1 R1】アンティークコイン フランス パリ 1677-A年 ルイ14世 1ルイ・ドール金貨 NGC-AU58
1677年発行(パリ造幣局)
発行枚数:不明
NGC社鑑定済み3枚、AU58は2枚でトップ2グレードです。
重量:6.751グラム
直径:23.5ミリ
品位:91.70%金
MONNAIES ROYALES FRANCAISES VIVTOR GADOURYでR1判定と大変希少な金貨です。
表面:若年期のルイ14世の肖像

表面には、右を向いた王の胸像が描かれている。
王は長髪のウィッグを纏い、月桂冠を被らずに描写される「ベア・ヘッド」のスタイルをとることもあるが、1677年のタイプは流麗な髪のディテールが特徴的である。
肖像を取り囲む碑文は以下の通りである。
LVD. XIIII. D. G. FR. ET. NAV. REX. これはラテン語の Ludovicus XIIII, Dei Gratia, Franciae et Navarrae Rex(神の恩寵によるフランスとナバラの王、ルイ14世)の略称である。
特に注目すべきは、ローマ数字の「14」が「XIV」ではなく「XIIII」と表記されている点である。
これは当時のフランス貨幣における伝統的な表記法であり、視覚的なバランスや中世以来の慣習を反映している。
NGCの鑑定で強調された「魅力的なディテール」は、特に王の顔立ちの立体感や、ウィッグの個々のカール、そして首筋の表現に顕著である。

裏面:王室の紋章

裏面には、4つの王冠を頂いた「L」のモノグラムが、十字の形に背中合わせに配置されている。
十字の間にはフランス王室の象徴である「フルール・ド・リス(百合の紋章)」が配され、中央にはミントマーク「A」が円の中に刻まれている。
周囲の碑文は以下の通りである。
CHRS. REGN. VINC. IMP. これは Christus Regnat, Vincit, et Imperat(キリストは支配し、勝利し、命じる)を意味する。
この銘文は、王の権威が神によって授けられたものであるという「王権神授説」を強調するものであり、金貨そのものが一種の宗教的・政治的お守りとしての役割も果たしていたことを示唆している。
基準価格
Gold Coins of the World(10th edittion)では
VF:2,800ドル
EF/UNC:4,000ドル
CH UNC: –
MONNAIES ROYALES FRANCAISES VIVTOR GADOURYでは
TB:1,200ユーロ
TTB:2,200ユーロ
SUP:4,000ユーロ
1.17世紀フランスにおける貨幣制度の技術的転換とルイ・ドールの誕生
ルイ・ドール(Louis d’or)の歴史的起源は、1640年にルイ13世が実施した大規模な貨幣改革に遡る。
それまでのフランスでは、ハンマー打ち(手作業)によって製造される不揃いなエキュ(Écu)が流通していたが、これは偽造や「クリッピング(縁を削り取る行為)」の被害に遭いやすく、経済的安定を阻害していた。
これに対抗するため、ルイ13世と枢機卿リシュリューは、スペインのピストール金貨に対抗しうる国際的な信頼性を備えた新通貨の創設を命じた。
この改革の技術的中核を担ったのが、フランスの彫刻家・彫金師であるジャン・ヴァラン(Jean Varin / Warin)である。
彼は、それまでのハンマー打ちに代わり、スクリュープレスを用いた鋳造技術を導入した。
この機械化されたプロセスにより、貨幣は均一な重量、正確な直径、そして繊細なディテールを持つようになり、フランスの造幣技術はヨーロッパ随一のレベルへと引き上げられた。
1677年の個体に見られる「魅力的なディテール」は、まさにこのヴァランが確立した精密鋳造技術の継承と成熟を物語るものである。
2.フランス植民地貨幣としての側面
【1670年の勅令と植民地通貨】
1677年のルイ・ドールを語る上で欠かせないのが、フランスの北米植民地「ヌーヴェル・フランス(New France)」との経済的繋がりである。
1670年、ルイ14世は西インド会社の要請に応じ、北米およびカリブ海の植民地専用の貨幣を発行することを許可した。
これが「フランス新世界貨幣」であり、5ソルおよび15ソル銀貨が鋳造された。
これらの植民地貨幣もパリ造幣局(A)で製造されており、1677-Aのルイ・ドールと同じ彫金師(ジャン=バティスト・デュフールなど)が関与していた。
当時のカナダ(ケベックやモントリオール)では慢性的な貨幣不足に陥っており、公式な金貨であるルイ・ドールは、植民地の富裕な商人や行政官の間で、高額決済や本国への送金手段として重宝された。
1677年発行(パリ造幣局)
発行枚数:不明
NGC社鑑定済み3枚、AU58は2枚でトップ2グレードです。
重量:6.751グラム
直径:23.5ミリ
品位:91.70%金
本貨は、その物理的な組成から意匠、そして背後にある歴史的背景に至るまで、大世紀フランスの栄華と矛盾を完璧に凝縮した芸術的工芸品です。
NGC AU58という鑑定を受けた本個体は、350年にわたる歴史の荒波、激しい戦争、繰り返される貨幣改鋳、そしてフランス革命という国家の根底を揺るがす激動を潜り抜けてきた奇跡的なサバイバーです。
その表面に宿る「レモン・イエロー」の輝きは、太陽王が渇望した「不滅の栄光」を、現代の我々に視覚的に伝えています。
貨幣学的視点から見れば、本貨はジャン・ヴァランによって完成されたフランス造幣技術の極致を示す標本であり、歴史学的視点から見れば、絶対王政が経済を通じて領土と権力を拡大していった過程を生々しく物語る一次史料でもあります。
今後、金の国際価格の上昇や、歴史的コインに対する投資・収集需要の増大に伴い、本貨のような「保存状態が極めて良好で、歴史的物語性の高い」個体の価値は、さらに揺るぎないものとなっていくでしょう。
1677-A ルイ・ドールは、過去の経済的証拠であると同時に、未来へと引き継がれるべき人類の文化遺産としての輝きを放ち続けています。


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