【レア度3 R3】アンティークコイン イタリア 1599年 ラヌッチョ1世・ファルネーゼ 2ドッピア金貨 PCGS-AU50

ゴールドコイン

【レア度3 R3】アンティークコイン イタリア 1599年 ラヌッチョ1世・ファルネーゼ 2ドッピア金貨 PCGS-AU50

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1599年発行(ピアチェンツァ造幣局)

発行枚数:不明

 

 

 

 

 

 

 

 

PCGS社鑑定済み1枚、AU50は1枚でトップグレードです。

 

 

 

 

 

 

 

 

重量:13.05グラム

直径:29ミリ

品位:91.70%金


イタリアの貨幣カタログ『Monete Italiane Regionali (MIR)』において、「Molto Rara(非常に稀少)」と評価されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

イタリアの貨幣学で用いられる尺度において、「R3(非常に稀少)」を上回る可能性が示唆されるほど、オークション等での出現頻度が極めて低いコインです。


表面:ラヌッチョ1世の肖像


表面には、左を向いたラヌッチョ1世・ファルネーゼの胸像が描かれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

この肖像は、単なる君主の記録ではなく、意図的に構成された政治的メッセージである。

 

 

 

 

 

 

 

 

肖像において、ラヌッチョ1世は「装飾された鎧」を身にまとい、その上に「マント」を羽織っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

16世紀後半のイタリアにおいて、鎧を着用した君主像は、その人物が軍事的指導者であることを強調する古典的な手法であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラヌッチョ1世の父アレッサンドロは、スペイン王フィリペ2世に仕え、レパントの海戦やオランダ反乱(八十年戦争)で名を馳せたヨーロッパ最高の将軍の一人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラヌッチョ自身は父ほどの軍功を挙げる機会には恵まれなかったものの、この金貨の肖像を通じて父の武勇を継承し、公国の防衛者としての資質を視覚的に訴えかけているのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、肖像の周囲を囲む銘文(Legend)は以下の通りである。

RANVT • FAR • PLA • P • DVX • IV • S • R • E • CONF • P

(全訳:ラヌッチョ・ファルネーゼ、ピアチェンツァおよびパルマの第4代公爵、神聖ローマ教会旗手)

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで注目すべきは「S • R • E • CONF(Sanctae Romanae Ecclesiae Confalonerius)」という称号である。

 

 

 

 

 

 

 

 

これは「教皇庁旗手」を意味し、ファルネーゼ家が教皇権の擁護者としての特別な地位を保持していることを示している。

 

 

 

 

 

 

 

 

この称号は、世俗の主権だけでなく、精神的・宗教的な正統性をも裏付けるものであり、公国の国際的な地位を確固たるものにしていた。


裏面:ローマの建国神話の雌狼


ピアチェンツァは、紀元前218年にローマ共和国によってポー川沿いの植民市「プラケンティア(Placentia)」として創設された長い歴史を持つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

雌狼は周知の通り、ローマの建国神話において双子の創設者ロムルスとレムスに乳を与えた動物であり、ローマ文明そのものの象徴である。

 

 

 

 

 

 

 

 

裏面に雌狼を描くことは、ピアチェンツァが単なる地方都市ではなく、由緒正しいローマの末裔であることを主張する行為であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、中世から近世にかけてのイタリア諸都市が、自らの地位を高めるために「古代ローマへの回帰」を標榜したルネサンス人文主義の流れに合致するものである。


基準価格

 

Gold Coins of the World(10th edittion)では

VF:2,000ドル

EF/UNC:4,000ドル

CH UNC:-


1.ファルネーゼ家の台頭とピアチェンツァ公国の成立

 

 

 

ファルネーゼ家がイタリアの歴史において中心的な役割を果たすようになったのは、1534年にアレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿が教皇パウルス3世として選出されたことに端を発する

 

 

 

 

 

 

 

 

パウルス3世は、当時の教皇庁におけるネポティズム(親族登用主義)の伝統に従い、自身の非嫡出子であるピエール・ルイージ・ファルネーゼに、教皇領の一部を割譲して世俗の公国を創設することを画策した。

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして1545年、パルマとピアチェンツァを主要な領土とするパルマ・ピアチェンツァ公国が誕生したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピアチェンツァは、その地理的条件から当初、公国の首都として選ばれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミラノ、ジェノヴァ、そしてポー川という主要な交通・軍事の要所に近接しており、戦略的な価値が極めて高かったためである。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、建国当初の公国は不安定であり、1547年にはピエール・ルイージが地元の貴族によって暗殺されるという悲劇に見舞われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

この暗殺には、ミラノを支配していたスペイン勢力の関与が強く疑われている。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、オッターヴィオ・ファルネーゼ(第2代公爵)とアレッサンドロ・ファルネーゼ(第3代公爵)の治世を経て、公国はスペイン・ハプスブルク家との戦略的な提携を強化し、イタリアにおける有力な国家としての地位を確立していった。


1592年、父アレッサンドロの死を受けて第4代公爵に即位したのが、ラヌッチョ1世・ファルネーゼである。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の統治は、中世的な封建制度からの脱却と、絶対君主制への移行を強力に推し進めるものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

1594年には行政の集中化を断行し、それまで広範な特権を享受していた地元貴族の権限を大幅に縮小させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

本貨は、まさにこの行政改革と中央集権化が完成しつつある時期に発行されたものであり、ラヌッチョ1世の絶対的な主権を黄金という不変の素材に刻み込んだ象徴的行為であったと言える。


2.1599年銘2ドッピエ金貨の技術的仕様と鋳造背景

 

 

 

貨幣学的な分類において、この1599年銘金貨は「2ドッピア(2 Doppie)」あるいは「クアドルプラ(Quadrupla)」と呼ばれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

当時の貨幣体系において、1ドッピアは2ダカットに相当したため、この2ドッピア貨は実質的に4ダカットの価値を持つ重量級の金貨であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

このような高額面の貨幣は、日常的な商取引のためというよりも、国際的な大口決済、外交上の贈答、あるいは富裕層による資産保全を主目的として鋳造されたものである。


1599年発行(ピアチェンツァ造幣局)

発行枚数:不明

 

 

 

 

 

 

 

 

PCGS社鑑定済み1枚、AU50は1枚でトップグレードです。

 

 

 

 

 

 

 

 

重量:13.05グラム

直径:29ミリ

品位:91.70%金


本貨は、16世紀末イタリアの政治・経済・芸術が交錯する一点を鮮明に映し出しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

この金貨が現代の我々に伝えるのは、単なる「古いコイン」の物語ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、教皇庁の庇護の下で生まれた一族が、いかにして古代ローマの遺産を自らの象徴として取り込み、絶対主義的な国家を築き上げようとしたかという、権力闘争の記録です。

 

 

 

 

 

 

 

 

雌狼と百合の枝、そして公爵の冠という意匠は、ピアチェンツァという都市のアイデンティティをファルネーゼ家の物語へと統合する、高度な知的・視覚的戦略の成果でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

稀少性、芸術性、そして歴史的な重み。

 

 

 

これら全ての要素が凝縮されたこの「黄金のドッピア」は、今なお世界のコレクターを魅了し続け、イタリア・ルネサンスからバロックへと至る華麗なる歴史の証人として、不朽の輝きを放っています。

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