アンティークコイン ベルギー ブラバント公国 1506-55年 カール5世 1レアルドール金貨 PCGS-AU58

ゴールドコイン

アンティークコイン ベルギー ブラバント公国 1506-55年 カール5世 1レアルドール金貨 PCGS-AU58

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1506-55年発行(アントウェルペン造幣所)

発行枚数不明

 

 

 

 

 

 

 

 

PCGS社鑑定済み8枚、AU58は2枚でトップグレードです。

 

 

 

 

 

 

 

 

重量:5.35グラム

直径:26.0ミリ

品位:99.1%金


表面:カール5世の半身像


表側には、鎧を身にまとい、右手に剣、左手に十字架を頂いた宝珠(オーブ)を持つカール5世の半身像が描かれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

この鎧姿は、彼が常に戦場にある軍事的指導者であることを強調しており、剣は正義と防衛を、オーブは全世界(地上の支配権)を象徴している。

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲の銘文 KAROLVS D G ROM IMP Z HISPA REX (神の恩寵によるローマ皇帝、スペイン国王カール)は、彼の王としての二つの顔を明確に示している。

 

 

 

 

 

 

 

 

この時代の硬貨において、肖像の写実性は中世的な記号性からルネサンス的な個人の描写へと移行しつつあり、カールの特徴である「受け口(下顎突出)」を暗示する造形も見受けられることがあるが、この金レアルにおいては、威厳に満ちた理想化された皇帝像が優先されている。


裏面:双頭の鷲とハプスブルク家の紋章



裏側には、神聖ローマ帝国の象徴である「双頭の鷲」が中央に配され、その胸部にハプスブルク家が支配する諸州の紋章を統合した「16分割の盾」が描かれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

この複雑な紋章には、カスティーリャ、レオン、オーストリア、ブルゴーニュ、ブラバント、フランドルなどの意匠が含まれており、カールの血統がヨーロッパ全土の正当な相続者であることを証明している。

 

 

 

 

 

 

 

 

裏側の銘文 DA MIHI VIRTVTE CONTRA HOSTES TVOS (汝の敵に対抗するための力を私に与えたまえ)は、カールの個人的なモットーであり、宗教改革の荒波や異教徒(オスマン帝国)の脅威に直面していた彼の宗教的献身と防御の姿勢を反映している。

 

 

 

 

 

 

 

 

この言葉は、金貨を手にする商人や貴族に対し、皇帝が神の代理人として戦っていることを知らしめる政治的・宗教的宣言でもあった。


基準価格

 

Gold Coins of the Worldでは

VF              2,000ドル

EF              4,000ドル


1.カール5世と低地諸国の政治経済的統合

 

 

 

カール5世(在位1506年 – 1555年)の統治は、ハプスブルク家の「太陽の沈まぬ帝国」を体現していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は、父フィリップ美公からブルゴーニュ公領とネーデルラントを、母フアナ(狂女)からスペイン諸王国(カスティーリャ、レオン、アラゴン等)を、そして祖父マクシミリアン1世からオーストリアのハプスブルク家領を継承した。

 

 

 

 

 

 

 

 

この広大な領土の中でも、ブラバント公国を含むネーデルラント諸州は、カールが生まれ育った故郷であり、帝国内で最も都市化が進み、富が集積された地域であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

アントウェルペンは、この時期にブルッヘ(ブリュージュ)に代わって北欧最大の貿易港および金融センターとしての地位を確立した。

 

 

 

 

 

 

 

 

シェルト川に面したこの都市には、新世界の富(金・銀)や東方の香辛料、英国の羊毛が流れ込み、フッガー家やウェルザー家といった国際的金融資本が拠点を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

カール5世が断続的に続けたフランス王フランソワ1世とのイタリア戦争や、オスマン帝国との戦いにおける莫大な軍事費は、このアントウェルペンの金融市場と、そこから供給される通貨によって支えられていたのである。


【低地諸国の通貨体系と金レアルの地位】

 

 

 

カール5世の統治下におけるネーデルラントの通貨体系は複雑であり、金貨、銀貨、そして「カロールス・グルデン」のような会計単位が並存していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

1521年に導入された通貨改革により、金レアルドールは最上位の通貨として位置づけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

この金レアルは、当時の会計単位で3カロールス・グルデン、あるいは60ステューフェル(銀貨単位)に相当する価値を持っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

金レアルは帝国内部だけでなく、国際的な決済手段としての信頼性を担保するために、極めて高い金品位と重量を維持する必要があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

本個体は、標準重量をわずかに上回っており、当時の鋳造時における金属管理の厳格さと、摩耗の少なさを示唆している。


【アントウェルペン鋳造所の技術と役割】

 

 

 

「ハンド(手)」のミントマークで知られるアントウェルペン鋳造所は、ブラバント公国のみならず、西ヨーロッパ全域における造幣技術の最前線であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

このミントマークは、アントウェルペンの地名の由来となった伝説(巨人アンティゴーンの手を切り取って投げた英雄ブラボーの物語)にちなんでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

16世紀前半、造幣は依然として「ハンマー打ち(槌打)」法で行われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、手作業で切断され重量調整されたブラン(素地)を、上下の刻印(ダイ)の間に置き、大槌で叩いて文様を転写する手法である。

 

 

 

 

 

 

 

 

このプロセスでは、打刻の圧力不足による「甘打ち」や、ブランが丸くない「不整形」が日常的に発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、本個体は「円形に近く、比較的均整の取れたプランシェット(丸地)」に打たれており、当時の技術水準において特筆すべき品質を備えている。


1506-55年発行(アントウェルペン造幣所)

発行枚数不明

 

 

 

 

 

 

 

 

PCGS社鑑定済み8枚、AU58は2枚でトップグレードです。

 

 

 

 

 

 

 

 

重量:5.35グラム

直径:26.0ミリ

品位:99.1%金


本貨は、1520年代から1550年代にかけての金レアルの製造は、スペインがアメリカ大陸(メキシコやペルー)から持ち込んだ金銀が、どのようにヨーロッパ経済を循環したかを示す実例でもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

アントウェルペンは、スペイン王室への融資に対する利息や、貿易の決済として支払われたスペイン銀を、自国の通貨であるレアルやパタールに鋳替えていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

本個体(5.35g)に見られる高い金純度は、アントウェルペンの試金師たちの卓越した技術を証明しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

不純物を取り除く精錬技術が未発達だった時代に、これほどの純度を大規模に維持できたのは、アントウェルペンが当時の冶金学の最先端であったからに他なりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

この純度の高さは、金レアルドールが「世界通貨」として広く受け入れられた最大の理由であり、本個体の輝きは、その技術的勝利の証しでもあるのです。

 

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