グレートブリテン 1981年 エリザベス2世 クィンタプル・ソブリン 5ポンド金貨 NGC-PF70 UCAM
1981年発行(英国王立造幣局)
発行枚数:不明
NGC社鑑定済み430枚、PF70は143枚でトップグレードです。
重量:39.94グラム
直径:35.5ミリ
品位:91.67%金
表面:聖ジョージと竜

表面は、ベネデット・ピストルッチ(Benedetto Pistrucci)の不朽の名作「聖ジョージと竜(St George and the Dragon)」である。
1817年のソブリン金貨再導入時に発表されたこのデザインは、ギリシャ古典主義の影響を受けたダイナミックな筋肉描写と、躍動する馬の姿勢、そして踏みつけられるドラゴンの苦悶の表情が見事に統合されている。
5ポンド金貨という大きなキャンバスは、ピストルッチが意図した細部のディテールを最大限に表現することを可能にしている。
標準的なソブリンでは見落とされがちな馬の蹄の質感や、ジョージの甲冑の継ぎ目までもが明瞭に確認できる点は、大判金貨ならではの収蔵価値と言える。
1981年銘では、このピストルッチのイニシャル「B.P.」が右下の地面部分に、打刻年「1981」が中央下部に刻まれている。

裏面:エリザベス2世女王の第2次肖像

裏面には、アーノルド・マチン(Arnold Machin RA)によるエリザベス2世の第2次肖像が描かれている。
1968年に導入されたこの肖像は、女王がティアラを戴き、若々しくも威厳に満ちた横顔を見せる構図であり、英国のデシマル化(十進法移行)時代の象徴となった。
マチンのデザインは、彫刻的な立体感と繊細なラインの調和が絶妙であり、特にプルーフ仕上げにおいては女王の肌の質感とティアラの精緻な描写が鏡のような背景に浮かび上がる。
1981年銘の5ポンド金貨において、このマチン肖像が採用されたのは1980年、1981年、1982年、1984年のみであり、その後のラファエル・マクルーフやイアン・ランク・ブロードリーによる肖像と比較しても、クラシックな気品を好むコレクターからの支持が根強い。
1.1981年エリザベス2世5ポンド金貨
1981年に発行されたエリザベス2世の5ポンド金貨、別名クィンタプル・ソブリンは、現代のイギリス貨幣史において極めて重要な転換点を示すマイルストーン的な存在である。
この金貨は、1902年のエドワード7世戴冠記念以降、事実上途絶えていた5ポンド金貨の「個別販売」という伝統を復活させた最初の年次発行物であり、コレクター市場におけるロイヤル・ミント(英国王立造幣局)の戦略的転換を象徴している。
特に、Numismatic Guaranty Company(NGC)によって最高評価である「PF70 Ultra Cameo」を付与された個体は、単なる貴金属としての価値を超越した、保存状態と打刻精度の極致を示す芸術的資産として位置付けられる。
2.5ポンド金貨の系譜
5ポンド金貨の起源は、1816年の貨幣大改革(Great Recoinage)にまで遡る。
この改革は、ナポレオン戦争後の混乱した英国通貨制度を安定させるために実施され、金本位制の確立とともにソブリン金貨を主軸とする現代的な体系を構築した。
当時、5ポンドという高額面は一般流通を目的としたものではなく、国王の権威を示す試鋳貨や、戴冠式などの国家的重要行事を祝うための特別な贈り物として構想されていた。
最初の5ポンド金貨は1820年、ジョージ3世の治世の最終年にベネデット・ピストルッチの設計により打刻された。
その後、ヴィクトリア女王の「ウナとライオン」(1839年)、ゴールデン・ジュビリー(1887年)、ダイヤモンド・ジュビリー(1893年)といった歴史的傑作が生まれ、その威厳あるサイズと美しさは「Chief Coin of the World(世界の主要貨幣)」としてのソブリン金貨の地位を不動のものにした。
しかし、20世紀に入ると第一次世界大戦の勃発により金本位制が停止され、金貨の流通は激減した。
1911年を最後に、5ポンド金貨は戴冠記念のプルーフセットに含まれるのみとなり、一般のコレクターが個別に入手する機会は失われていたのである。
1980年、ロイヤル・ミントはコレクター向けに5ポンド金貨の製造を再開したが、この年は4枚の金貨を含むセット販売のみに限定されていた。
これに対し、1981年は現代のコレクターが「単体」で5ポンド金貨を購入できるようになった最初の年であり、これが「モダン・クィンタプル・ソブリン・シリーズ」の実質的な幕開けと見なされる理由である。
1981年発行(英国王立造幣局)
発行枚数:不明
NGC社鑑定済み430枚、PF70は143枚でトップグレードです。
重量:39.94グラム
直径:35.5ミリ
品位:91.67%金
本金貨は、20世紀後半の英国貨幣史における「伝統の復活」を具現化した象徴的資産です。
アーノルド・マシンとベネデット・ピストルッチという二人の巨匠の魂が吹き込まれた意匠は、39.94gの黄金という圧倒的な質量とともに、所有者に比類なき満足感を提供します。
5,400枚という限られた発行枚数は、2026年の激動する経済環境において、単なる投資対象以上の「文化遺産」としての価値を確立しています。



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