【レア度2 R2】オーストリア 1686年 神聖ローマ皇帝 レオポルド1世 1ダカット金貨 NGC-AU53
重量:3.50グラム
直径:23.5mm
品位:98.6%金
NGC社鑑定済み枚数2枚 AU53は1枚でトップ2グレードです。
本貨の表面には、月桂冠(ローリエ)を戴き、特有の「受け口(ハブスブルクの顎)」が強調された皇帝レオポルド1世の右向肖像が、バロック様式の極めて精緻な打刻で描かれている。
1680年から1685年にかけて鋳造された初期タイプにおいては、皇帝の肖像は内側の二重円(ダブル・サークル)の中に完全に収まるように設計されており、肖像の下部が円を突き抜けることはなかった。
しかし、1686年に至り、肖像のスタイルに劇的な意匠変更が加えられた。
新意匠では、皇帝の胸部から肩にかけての衣装部分が、下部の内周円を突き破るように大きく描かれるダイナミックな構図へと移行した。
この構図の変更は、バロック美術における「枠組みからの解放」と「動的な表現の追求」を反映したものであり、皇帝の権威をより直感的かつ立体的に見せるための意図的な美術的戦略であったと考えられている。

裏面には、ハブスブルク家の不滅の象徴である、王冠を戴いた「双頭の帝国鷲(インペリアル・イーグル)」が描かれており、周囲はビーズ状の内周円(点子円)で囲まれている。
鷲の頭上にある王冠を挟み込む形で、鋳造年である「16」と「86」の数字が左右に分割して配置されている。
さらに、裏面のレジェンド(銘文)の下部には、当時のウィーン鋳造所のミントマスターであり、本貨の金型を彫刻した高名な金細工師マティアス・ミッターマイヤー(Mathias Mittermayer)のイニシャルである「(MM)」が刻印されている。
彼の技術的な精緻さは、鷲の羽一枚一枚の鋭い打刻や、文字盤の均一な配列に現れており、17世紀後半のウィーンにおける金属工芸技術の極致を示している。
・ハブスブルク帝国の歴史的文脈
1686年という鋳造年は、神聖ローマ帝国およびハブスブルク家にとって、軍事的かつ政治的な一大転換期にあたる。
1683年に発生した第二次ウィーン包囲において、オスマン帝国による包囲網を奇跡的に撃退したハブスブルク同盟軍は、その後、失地回復を目指す大トルコ戦争(1683年〜1699年)へと突入した。
特に1686年は、約145年間にわたりオスマン支配下にあったハンガリーの要衝ブダを奪還した「ブダ包囲戦」が展開された年であり、キリスト教世界の守護者としてのハブスブルク家の威信が最高潮に達した時期である。
このような緊迫した国際情勢において、ウィーン鋳造所で鋳造されたダカット金貨は、軍費調達のための高額決済用貨幣として極めて実用的な機能を担っていた。
それと同時に、この金貨は皇帝レオポルド1世の「絶対君主としての権力」と「神に選ばれし皇帝の正統性」を欧州全土に誇示するための政治的プロパガンダの媒体でもあった。
ダカット金貨は、13世紀のベネチア共和国で最初に鋳造されて以来、その極めて高い品位と信頼性から欧州全域に普及した。
オーストリアにおいては16世紀初頭に導入され、国際取引におけるデファクトスタンダードとして君臨し続けた。
ハブスブルク家が発行するダカットは、その伝統的な高品位(金純度0.9860)を厳格に維持することで、戦時下においても価値の減価を防ぎ、同盟国への資金援助や軍隊の給与支払いを円滑に進めるための絶対的な裏付けとして機能していたのである。
重量:3.50グラム
直径:23.5mm
品位:98.6%金
NGC社鑑定済み枚数2枚 AU53は1枚でトップ2グレードです。
神聖ローマ皇帝レオポルド1世。
ハプスブルク家、オーストリア皇帝は歴史的にも有名で人気が高いです。
コインの状態も非常によく、コレクションにはうってつけの一枚といえるでしょう。


コメント